青春18きっぷチョイ乗り情報室トップ > 「青春18きっぷ」の悪いところ
鉄道で旅行をされた事がある方なら「青春18きっぷは乗車券なのだから、特急料金を別に払えば特急にだって乗れるのでは?」と思われるかもしれません。しかし青春18きっぷでは、たとえ特急料金を別に払ったとしても特急列車には乗れません。急行列車、寝台車、グリーン車も同様です(普通列車・快速列車の自由席グリーン車は、別に自由席グリーン券を購入すれば乗れます)。この大きな制約の上に青春18きっぷの格安な値段が成り立っています。
青春18きっぷで乗れるJRの普通列車・快速列車が1時間に移動する距離は50〜60kmくらいです。ローカル線ではさらに移動スピードが落ちます。つまり青春18きっぷで10時間乗っても、500〜600kmくらいしか移動できません。500〜600kmは東京―大阪の距離に相当します。
本州は全長1300kmですから、青春18きっぷで1日で日本中へ行くことはできません。ただし、東京から初発列車に乗った場合、青森・福岡までなら到達は可能ですし、青春18きっぷで乗れる夜行快速列車(本数は非常に少ない)と組み合わせて利用すれば、さらに距離を稼ぐことはできます。
人口の少ない地域では列車同士の接続が悪い場合があり、列車の乗り換えで時間をロスすることもあります。北海道、四国、九州では、青春18きっぷで乗れる普通列車・快速列車の本数が少なく、接続も悪いので、本州より面積が小さいにも関わらず、端から橋まで行くのに丸一日かかったりもします。
青春18きっぷを使って旅行する場合、乗り換えは避けて通れません。なぜなら、長距離を走る普通列車・快速列車はあまり運転されていないからです。むしろ乗り換えに対して「エコノミークラス症候群の予防になる」と考えるくらいのプラス思考が必要かもしれません。
所要時間 | 乗り換え回数 | |
---|---|---|
東京-静岡 | 3時間 | 2〜3回 |
東京-名古屋 | 6時間 | 5〜6回 |
東京-大阪 | 9時間 | 7〜8回 |
東京(上野)-仙台 | 7時間 | 3〜5回 |
東京(上野)-新潟 | 7時間 | 3回 |
青春18きっぷを使って長距離を旅行する場合、乗り換えの回数と乗車時間が増えます。それはトラブルの発生率も高くなる事を意味します。列車が遅れて乗り換えがうまくいかない事もあります。そういうリスクを考えて、列車が少し遅れても、乗り換えを多少失敗しても大丈夫なように余裕を持ったプランを立てる必要があります(具体的には乗り換え時間には余裕を持たせる、最終列車で目的地に着くようなプランは立てない…など)。
青春18きっぷは自動改札を通れません。駅の有人改札口が空いているときはさほど問題ないのですが、精算のお客さんが多数押しかけて有人改札口が混んでいる場合、青春18きっぷ利用者も足止めをくらい、なかなか駅の外へ出られない場合があります。駅で私鉄やバスに乗り継ぐ場合は注意が必要です。
青春18きっぷで無条件に乗れる列車はJRの普通列車と快速列車です。これらの殆どは全席が自由席です。席に座れるかどうかは早いもの勝ちです。特に発車直前に乗った場合は座れないこともあります。
青春18きっぷで無条件に乗れる列車はJRの普通列車と快速列車です。これらは基本的に長距離の乗車を考慮した設計になっていません。ですので、特急列車や新幹線に乗る事と比べると、疲労が溜まりやすいといえます。
青春18きっぷは学生の長期休みのシーズン頃にだけ発売され利用できます。それ以外の期間は発売されませんし、利用も出来ません。
新幹線 (自由席) |
高速バス (昼行) |
在来線 ※「普通乗車券」 |
青春18きっぷ | |
---|---|---|---|---|
東京-静岡 | 5670円 | 2850円 | 3260円 | ※2300円 ※1枚11500円÷5=2300円 1回分あたりの値段です。 |
東京-名古屋 | 10070円 | 5100円 | 6090円 | |
東京-大阪 | 13240円 | 6000円 | 8510円 | |
東京(上野)-仙台 | 10080円 | 6210円 | 5780円 | |
東京(上野)-新潟 | 9760円 | 5250円 | 5460円 |
※「普通乗車券」とは、いわゆる普通の切符の事です。青春18きっぷのシーズン外で、普通列車・快速列車を乗り継ぐ場合は普通乗車券で乗ります。特急や新幹線に乗るときは、普通乗車券のほかに特急券が必要になります。
上表を見ると、青春18きっぷのシーズン外に普通列車・快速列車を乗り継いで旅行したとしても、あまり「お得感」がない事が分かります。「普通乗車券」で普通列車・快速列車を乗り継いで旅行した場合、高速バスよりも高いのに、座れる保証がなく、乗り換えが何度も必要な旅行には魅力を感じない方も多いでしょう。青春18きっぷが年中使えたら…と思うものですが、シーズン限定であるからこそ青春18きっぷは格安の値段を実現しているのです。
青春18きっぷの未使用回数分は、次のシーズンに繰り越すことができません。また、1回分でも使ってしまうと、払い戻しはできません。
青春18きっぷは、料理店の「30分以内で全部食べられたら無料!」…などの「挑戦メニュー」に似ていると思います。
青春18きっぷを買ったはいいが、全回数は使い切れず余らせてしまった…とか、観光ばかりしていてあまり列車に乗れず元を取れなかった…という場合、それは前述の料理店の挑戦メニューを完食できずに敗北するのと同じことのような気がします(要するにJRの勝ち!)。
青春18きっぷは、「普通列車・快速列車だけにし乗れないからお安くしときますよ。でも、使いこなせるかな?」という、JRから乗客への挑戦状である!? JRと乗客の知恵比べといった感じがします。
関連項目 : 青春18きっぷとは? 青春18きっぷの良いところ 青春18きっぷの悪いところ